紙幣

 

池上さんが名古屋の名城大学において知っておいて損はないとして上げる本を解説した講義について紹介します。

全部で十回ある講義のうち、第四回はケインズ著「雇用、利子および貨幣の一般理論」。

 

 

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ジョン・M・ケインズはイギリスの経済学者です。

このケインズが1936年に出版した本「雇用、利子および貨幣の一般理論」が世界に大きな影響を与えました。

この池上さんの講義のうち、第二回目に紹介した本であるマルクス著「資本論」では、資本主義経済が発展すればするほど、一方に富の蓄積があり、一方に貧困の蓄積があり、その経済格差はどんどん大きなものとなっていくため、いずれ革命運動や経済恐慌が起こることを予想していました。

 

詳しくはこちら

 

しかし、ケインズは不況を食い止めたり、極端な恐慌になるのを何とか抑えるということは、政策によって実現可能であるということを示しました。

そして、その結果大きな世界的恐慌は減っていったために「世界を変えた一冊」と言えるのですね。

ケインズ以前の経済の常識としては「均衡財政」が基本でした。

 

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国家として不景気に陥ると、企業の売り上げが下がり、当然国民の所得も減少します。そうなると、国家への税を収める額も減少し、国家予算を組むのが大変になります。

その結果、国の支出も減少し、国家全体としてどんどん不景気の方に下がっていってしまうと言った状況が生まれるのです。

収入に見合った分の生活をしなければいけない、収入に見合った支出をすべきというのが当時の常識だったのですね。

このような状況だと、不況が不況を呼び、最悪の状態である恐慌を呼び込むのは時間の問題であるということは誰しもが容易に理解できますよね。

 

 

ケインズは、適切な財政政策により不況の深刻化を防ぐことが出来ると説いたのです。

 

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これは今では至極普通であるため、特に解説は不溶化もしれませんが、国債の発行ですね。国が借金を背負ってもいいのではないかと説いたのです。

これにより、公共事業が盛り上がりを見せ、それに携わる企業がウルおうことにつながります。

それはつまり国民の所得も減少せずに済む、ましてや上がることもあるかもしれないことを示し、結果的に法人税や所得税などの税収が増え、一時的に借金はするものの国債を返済できるという循環になるわけです。

つまり、景気が悪くなったら仕事を作ればいいという発想です。

 

 

ピラミッド

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実はこの発想は、古代から存在した発想になります。

それがピラミッド。

ギザの三大ピラミッドは紀元前2500年頃に建設されたと言われています。つまり今から4500年も前。

日本はまだ竪穴住居で生活をしていた時代に、高さ146mもあるピラミッドを建設させた手法と言うのは非常に興味深いものがありますよね。

興味のある方はこちらの記事もご覧ください。

 

このピラミッドですが、昔からあった定説としては王様が自分の墓を建設するために、労働者を奴隷のように扱い建設をされたと考えられていました。

しかし、最近の研究・・・発見された様々な資料を分析した結果、「二日酔いだから仕事を休む」という旨がかかれた資料があったことが判明しています。

 

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この裏には奴隷的な労働ではなく、きちんと自由が確保された生活を送っていたことが想像できます。

当時は農繁期の間である、農閑期には仕事がなくなってしまうという状況があったため、その農民に対する雇用を生むためにピラミッドを建設したのではないか・・・という新たな定説が生まれているのです。

つまりこれは当時の景気対策だったということなのですね。

こうした歴史的な経緯をたどってみてもケインズの唱えていることはいろんなところで有効だったのではないかと考えることができます。

 

 

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資本主義経済の問題

我々の生活している経済社会の顕著な欠陥は、完全雇用を提供することが出来ないことと、富及び所得の恣意的で不公平な分配である。

ケインズは資本主義経済では、非自発的失業者・・・つまり働く能力も意思もあるが、雇用機会がなくて生じる失業・・・が生まれ、完全雇用ができないという状況が生まれることが大きな問題であると説いたのです。

不景気になっていけば企業が給料を安くし、やがて社員事態を着るという作業に移ります。こうして非自発的失業者の誕生となるわけです。

今となっては当たり前のように感じますが、当時はこのような発想がなかったのですね。

 

 

こうした働きたくても働けない人達を救うために政策を作っていかなければいけないとケインズは訴えたのです。

ケインズはこうした問題点を皮肉を込めてこう表現しています。

 

もし大蔵省が古い壺に銀行券をつめ、それを廃炭鉱の適当な深さの所へ埋め、次に都会のごみで表面まで一杯にしておき、幾多の試練を経た自由放任の原理に基づいて民間企業にその銀行券を再び掘り出させる

(もちろん、この権利は銀行券の埋められている地域の借地料の入札によって得られるものとする)ことにすれば、もはや失業の存在する必要はなくなり、その影響のお蔭で、社会の実質所得や資本資産もおそらく現実にあるよりもはるかに大きくなるであろう。

もちろん、住宅やそれに類するものを立てる方が一層懸命であろう。

しかし、もしそうすることに政治的、実際的困難が有するとすれば上述のことは何もしないより勝っているであろう。

 

まあ、よく言う道路工事現場が思い浮かびますね。笑

また穴掘ってコンクリートひっくり返してるよ・・・なんていう場所は各地区にあるでしょう。彼らが絶対的な必要性の元そこを工事しているのかは、専門家ではない私にはわかりませんが果たして・・・。笑

 

 

貨幣愛

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ケインズは貨幣には貨幣愛を持つようになると説いています。

これはどういうことかというと、土地が欲しくて土地を購入するのはいいのですが、その後すぐに現金が欲しい場合、その土地を売ることでしか貨幣を得ることができません。

そんなすぐに土地は売れませんよね?

そのため、いつでも出し入れが簡単な貨幣として自分の手元に持っておきたいという思考が働くのです。これを流動性選好と呼びました。

 

しかし、これだと資本であるお金が動かない・・・つまり景気が良くはならないことにつながります。

所得の中で消費に回すお金の割合を示す消費性向を高め、所得の中で貯蓄に回すお金の割合を示す貯蓄性向を低める必要があるのです。

 

これを示すいい例が世界大恐慌。

1929年ニューヨーク株式市場の株価大暴落を機に世界が大不況になった世界恐慌。倒産が相次ぎ、失業者が増加していきました。

こうして小さな政府を推進していた共和党に代わって民主党であるルーズベルト元大統領がニューディール政策を敢行しました。公共事業を全米に広げ、大規模雇用を実現したのです。

まさにケインズが唱えた政策を実践し、景気を回復させたと見られています。

しかし、これには経済学者によって諸説あるようで、その後に訪れた世界的な戦争によって経済が回復したのではないかという意見もあるようです。

 

今回はここまで。

次回は公共事業だけではなく、利子率と利潤率によっても景気を回復できる手法があるということを紹介していきます。これにより消費性向を高め、貯蓄性向を低めるように調整を行っていきます・・・。


 

 

 

 

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平成生まれの思うこと

小学生とか中学生に倣った記憶のある「小さな政府」とか「大きな政府」がここで登場しました。笑

何か断片的な記憶が一つにつながっていくようで非常に興味深いのですが、それと同時に自分が如何に無知であるのかということを思い知らされます。

ケインズが唱えた国債というものは、今では積りに積もって返済は不可能なほど借金を抱えた国も存在します。

これは決していいことではないだろう・・・と何となく思っていましたが、始まりは上記のような発想だったのですね。

確かにお金を回さないと景気が上向きにならない。そのために極端に言えば穴を掘ってそこを埋めるという事業も必要であると紹介されています。

ある種の強迫観念にかられた支出行動。

 

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やはり資本主義経済が抱える闇というのは深いなあと実感せざるを得ない感がするのは自分だけ・・・?笑