社会

 

池上彰さんが名古屋の名城大学にて「世界を変えた本」と題して講義を行った際、5冊目に紹介したのがフリードマン著「資本主義と自由」。

今回は、池上さんが解説したフリードマン著「資本主義と自由」を紹介します。

 

 

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フリードマン著「資本主義と自由」の解説記事①はこちらです。

国が介入した景気対策を経た時代から、徹底的に自由なマーケットの方がいいということを提唱したのがフリードマンであり、それが言論の自由なども生んでいくというのが①の記事でした。

 

 

 

今回まずは、フリードマンが政府の事業の中で「不要」と説いたものを紹介します。

 

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農産物の買い取り価格保証制度は政府が買い付けや保証を行って、生産者を保護する制度です。

農業と言うのは皮肉な業界であり、うんと豊作になった年と言うのは、市場に野菜が溢れかえり価格が下がってしまいます。

そのため、生産者を保護するために一定以上の価格で国が買い上げるという制度があるのです。

 

しかし、フリードマンはそれは不要だと説いています。池上さんはその理由として考えられることを学生に問いかけました。その答えは以下のモノ。

「保証されているっていうのがなくなれば、もっといいものを作らなければいけないという競争心が生まれるから。」

「元の野菜の値段が高くなってしまう。」

 

細々とやっている農家は保証制度があっても大した収入にはなりません。一方で大量に農産物を作っている農家はほしょうされることでものすごくお金が入ります。

ここで大きな格差を生みます。

結局国のお金をついやしても貧しい農家を助けることはできません。大量に生産している農家だけを助け、その結果消費者が買う農産物の値段は上がるわけです。

デメリットしか生まないのです。それゆえにフリードマンは不要だと説いたのです。

 

 

最低賃金制度は労働者を雇用する側は法律で定めた最低賃金以上の賃金を労働者に支払わなければいけないという制度です。

これは都道府県によって違いますが、働く以上は最低額を補償する制度です。日本でも非常に一般的ですよね。

フリードマンはこの制度に対しても不要だと説いています。池上さんはまた学生に問いかけました。

「賃金が高かったりすると物を作っている場合、生産コストが上がって商品の値段も上がってしまって、結局買う時にたくさんのお金が必要になってしまうから」

「企業は無理にでも高い賃金を払わなければいけなくなるので、労働者の数を減らさなければいけなくなり、雇用が減るから」

という回答が返ってきました。

 

こうした意見のように、最低賃金はあるものの経営者としてはコストを下げたいため、雇用者の数を減らすという結論に行きつきます。

その結果、失業率が高くなってしまい労働者を守る制度にはならないということなのです。

 

こうしたフリードマンの「最低賃金制度」の意見に賛成か反対かを学生に問いかけたところ、賛成2人、それ以外は全員反対ということになりました。

その反対派の意見を池上さんが聞いたところ

「需要と供給の関係で深夜は時給が上がっていくのと一緒で、昼間や週末などアルバイトしたい人が多い所は、むしろどんどん時給が下がって、搾取されていくのを防ぐために必要なのではないか。」

「最低賃金制度がないと払われる給料が少なくなってしまうので、企業はリストラはしないから失業者は出ないけど、労働者は働いてもご飯が食べられないくらい賃金が少なくなる可能性がある。」

こうした意見は非常に最もな意見ですね。賃金が増えなければ消費も増えない社会になりかねないですから。

皆さんはどう思いましたか?

 

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続いて社会保障制度に対してもフリードマンは不要だと説いています。

社会保障制度は、生活保護や年金制度・医療保険など国民が安心できる生活を保障する仕組みで、我々もうっとおしいと思う瞬間もありますが様々な恩恵にあずかっている制度ですね。

 

フリードマンは年金制度についてこう記述しています。

(年金による所得の再分配は)主に若い加入者から年配の加入者への分配という形式で行われる。

現在の高齢者は収めた以上の給付を受けており、この状況はしばらく続きそうだ。

一方、現行制度では、いま若い加入者が高齢者に達した時に受け取る給付は明らかに少ない。このような再分配を、どんな根拠で擁護できるだろうか。

年金業務があまりに専門的で、運営も専門家にほぼ一任されているため、社会保障庁のような政府機関を議会がきちんと監督するのはまずもって不可能になっている。

 

日本では2007年に約5000万件にも及ぶ年金保険料の納付記録漏れがあり「消えた年金」として話題に。

その後、社会保険庁を廃止し、日本年金機構が発足。

しかし、2015年にはサイバー攻撃による100万件の個人情報流出の問題が生じました。

このように日本でもトラブルは絶えません。

 

こうした社会保障制度に対しての意見を池上さんは学生に問いました。すると

「病気にかかった時にお金がない人だったら自己負担が3割でいいのは利便性があるし、年金もお金がもらえない状況になればやっぱり社会保険制度は必要だと思います。」

「年金に関しては現状高齢者が払った以上にもらっている。医療保険は高齢になって何回も病院に通うようになっているから医療保険の額が増えてその負担が多くなっています。

年金制度に関してはなくてもいいんじゃないかなと思います。廃止というのは極端かもしれないけど考えていく必要があるのではないかと思います。」

「いま日本でやっている賦課方式の年金は差が出てきてしまうからダメだという話で、積み立て方式なら問題ないんじゃないか。」

 

 

日本でも最初は年金は積み立て方式でした。

 

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しかし、インフレが進むと年金をもらう頃にはすっかり価値が下がってしまい、生活の足しにならないという現象が起きました。

そこで本人の払った保険料が現在の受給者への支払いに充てられるという「賦課方式」が取られるようになったのです。

年金と言うものは制度が確立してからそれが成功なのかどうかがわかるまで45年かかります。急に変えると不利益を被る人が出るため、フレッシュな人に対して変更した制度を適用する方向になるからですね。

すると実際に支払う当人も、制度を決める政治家も、そんな後のことは知らんと無責任なことになりかねないのです。

こうした問題も抱えているのが年金制度なのですね。

 

 

事業や職業に関する免許制度に関してもフリードマンは不要だと説いています。

医師免許と言うものがありますね。免許と言う制度にするから限られた人しか医師になることはできません。

そのため病院にはちょっと診てもらえばいい人でも非常に長い時間待たされることになります。

しかし、結局いい医者には人が集まるし、悪い医者には人は来ないため、極めて能力の高い医者がいれば十分だということなのです。

 

教員免許にも同様のことが言えます。

例えば、学習塾で教えている人の中には教員免許を持っていない人も大勢います。しかし、実際のところはもっていなくても教え方が上手ければ一流大学に生徒を合格させることも可能なわけです。

そうして教え方が上手い人が生き残れば生徒にとっていいのではないかというのがフリードマンの考え方なのです。

 

 

ティーパーティー

以上のように非常にぶっ飛んだ提唱もありますが、アメリカではこうしたフリードマンの考え方、リバタリアニズムの思考が強く根付いた集団がおり、草の根運動によるアメリカの保守派の集会「ティーパーティー」運動というのが巻き起こっています。

その中でもとくに有名なのが「ボストンティーパーティー(茶会)事件」。

1773年に起きたアメリカがイギリスから独立するきっかけとなった事件。

 

1620年、イギリスで弾圧を受けていた102人のイギリス人がメイフラワー号でアメリカ・マサチューセッツ州に到着し、新大陸で自由な社会を形成しようとしていました。

しかし、イギリスの財政難で次々と思い税金をかけるようになります。さらに1773年にはイギリスの東インド会社にお茶の独占販売権を認める「茶法」ができました。

高い税率と、イギリスの横暴な政策にアメリカに割った人たちは嫌気がさし、1773年に「ボストン茶会事件」が起きるに至るのです。

これが現代のティーパーティーにつながっているそうです。

 

ティーパーティーの「TEA」を文字って

Taxed
Enough
Alredy

「税金はもう十分に払っている」

ということを訴えたりもする人がいるそうです。

 

つまりは小さな政府を求めているのです。

社会保障は辞めろ、医療保険なんていらない、最低限度の警察と裁判所と軍隊さえあればいいということを徹底した運動であり、アメリカの共和党の支持母体になっています。

 

 

理想と現実

このフリードマンの提唱には理想と現実があります。

そのいい例と言うのが「教育バウチャー制度」。

 

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これは国から支給される「引換券」が児童に与えられ、それを学校に提示することによって、学校は国から補助を受けることが出来るという制度です。

つまり自動を獲得すればするほど、国から保証を受けることが出来るため、各学校が独自の特色を出そうと工夫をし、競争が生まれるのです。

日本でまず導入したのが品川区であり、それによって学校が様々な工夫をし、教育がよりよくなったのは事実だったそうです。

しかし、学校を選択する児童側はその学校に関するすべての情報を知っているわけではありません。そのため、選択する要素としては口コミなどに頼らざるを得ない状況になるのです。

そのため、情報の非対称が起き、完全な自由競争とはいかなくなってしまうのです。

情報の非対称性というのは、商売などにおいて売る側と買う側で同じ情報を保持していない状態のことを指します。

結局、なんとなくいいという評判の学校に生徒が流れ込み、結果的に生徒へ目が行き届かなくなるという現象が起きてしまうこともしばしばあるようです。

 

 

こうしたフリードマンが提唱する「新自由主義」。

かなり極端なことを言っているため、賛否両論あるでしょうが、これがアメリカではかなりの影響力を誇っており、現代の経済において、政治においてもところどころに点在しているということを知っておかなければいけません。

あなたはどう思いましたか?

 

 

 

 

pazoo
平成生まれの思うこと

今回は本文の最後の方で自分の意見を混ぜましたので、ここで特筆して記述することはないかなあ・・・。笑

こうしたぶっとんだ意見が土台を揺るがし、型にはまらない考え方を生んでいくのでしょう。

 

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思ったことは言ってみるというのも、時には有効に働くかもしれませんね。