珍億

 

池上彰さんが名古屋の名城大学にて「世界を変えた本」と題して講義を行った際、6冊目に紹介したのがレイチェル・カーソン著「沈黙の春」 。

今回は、池上さんが解説したレイチェル・カーソン著「沈黙の春」を紹介します。

 

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「沈黙の春」の解説①の記事では、沈黙の春というタイトルに込められた意味や、農薬の歴史について記述してきました。

 

 

今回はまず、日本における環境汚染について紹介していきます。

日本において環境汚染の警鐘を鳴らしたのは有吉佐和子著「複合汚染」であると言われています。

 

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この「複合汚染」では、日本においても非常に多くの汚染物資に囲まれており、それらが複合することによってより大きな危険をもたらすということにつながっていることを知らしめました。

この「複合汚染」の出版により、日本でもようやく環境汚染について対策を講じていかなければいけないという世論が高まることになりました。

 

そうした思想は当時学校にあった焼却炉の廃止につながりました。

昔ながらの風景を描いた作品などを見るとわかるように、学校のゴミを焼却炉に投げるシーンと言うのは良く見られますよね。

当たり前のように存在していた焼却炉が廃止になっ理由油と言うのは、低温でゴミを燃やすことによってダイオキシンが多く発生することがわかったためです。

そのため、高温のごみ処理施設が建設され、こうした学校などでも焼却はしないようになりました。

しかし、それはお正月後の風物詩であるどんと焼きも姿を消すようになってしまったのです。ここまで目くじらを立てる必要はあるのか・・・という意見もありますが、環境に対す意識が高まったことはよくわかりますよね。

 

 

生物の多様性

こうした環境問題が起こる根本としてカーソンは以下のように記述しています。

 

私たちの住んでいる地球は自分たち人間だけのものではない・・・(中略)

「自然の征服」・・・これは、人間が得意になって考え出した勝手な文句に過ぎない。

生物学、哲学のいわゆるネアンデルタール時代にできた言葉だ。自然は、人間の生活に役立つために存在する、などと思いあがっていたのだ。(中略)

恐ろし息吹を考え出し手はその矛先を昆虫に向けていただが、それは、ほかならぬ私たち人間の住む地球そのものに向けられていたのだ。

 

自然の征服という勝手な人間の都合による自然界への押し付けは、自然の多様性を失わせ、偏ったものへと変貌させてしまいました。

そのいい例となるのが、日本でのスギ花粉。

戦後成長がはやく、木材として使用することが出来るという目的で一斉に杉の木が植えられました。

これは山々に住む動物が快適に暮らせるようなことはまったく考えておらず、人間の都合によって植えられたものであり、その結果が花粉症と言うことで人間に返ってきています。

こうして痛い目を見ながら人間は気づき、修正をしていっているのです。

 

 

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原発問題

日本が抱える最近の最大の環境問題が原発の問題です。

2011年3月に起こった東日本大震災によって福島第一原発が損壊し、水素爆発によって大量の放射性物質を大気圏に放出しました。

さらには炉を冷やすための冷水が高濃度汚染水となり、海に流れたという事態にも至りました。

こうした被害により、福島一体の空気が汚染され、そこで生産されたものへの被害などが問題となり、さらには多くの人々が住処を奪われることになりました。

 

しかし、問題はそれだけではありません。

こちらが2015年3月現在の福島原発。

 

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建物で覆われ、大気中に放射能が漏れ出ないようになっています。

しかし、この建物の裏側をご覧ください。

 

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実は放射能を含んだ高濃度汚染水は今も垂れ流され続けているため、それをこうしてタンクに収納しているのです。

レイチェル・カーソンは、農薬による環境汚染について警鐘を鳴らしました。それによってかなり農薬の問題は改善されたのですが、現代において、一度こうした原発事故が起こってしまうとその被害は尋常じゃないものになってしまうのです。

 

カーソンはこのようにも記述しています。

私たちは今や分かれ道にいる。(中略)どちらの道を迷うべきか、今さら迷うまでもない。

長い間旅をしてきた道は、素晴らしい高速道路で、すごいスピードに酔うこともできるが、私たちはだまされているのだ。

その行きつく先は、禍であり破滅だ。

 

もう一つの道は、あまり「人もいかない」が、この分かれ道を行く時にこそ、私たちの住んでいるこの地球の安全を守れる、最後の、唯一のチャンスがあるといえよう。

 

人がいくような道ではない道と言うのは、正直歩きずらいですし、ひょっとしたら怪我なんかもするかもしれません。

しかし、その道こそ今通るべき道であるということをカーソンは提唱しているのです。

 

さて、これにて池上さんの講義は終焉を迎えるわけなのですが、こうした一連の環境問題について話を聞いた大学生たちは何を思い、どういった感想を持ったのかを学生に聞いたところ、いろんな意見が返ってきていましたので、紹介します。

「東日本大震災の前にも誰かが原発でいつか事故が起こることを予測しているという話は聞いたことはありましたが、その意見を無視して対策をしなかったのは生産者側の利益を考えているからであり、頭では人間の命の方が大事とわかっているのに、利益を目の前にするとそちらをとってしまうのはよくないと感じました。」

「原発の再稼働に賛成の立場ではないけど、他に日本の電力を賄える方法を思いつくかといえば思いつかないので、これから自然エネルギーが考案されればいいなと感じました。」

 

こうした意見は最もですね。今後の大きな課題です。

 

実はこの原発事故の前、日本は地球温暖化防止に向けて二酸化炭素を大きく削減すると公約していました。その公約は原子力発電所を大量に作って、それに依存する形で成し遂げるというものでした。

そこに原発事故が起こってしまったために、火力発電所に電力の供給を頼らざるを得ない状況になりました。

しかし、火力発電は二酸化炭素の排出を伴います。問題は原発だけではないということなのですね。

代替えになるエネルギーとその問題点を列挙します。

 

風力発電:風車を大量に建設し、なおかつ常に風車が回る場所でなくてはならないため、大量の電気を供給するのは現実的ではない。

太陽発電:発電効率が非常に悪く、大量に設置しても得られる電力は乏しい。

地力発電:エネルギー効率はいいが、すでに温泉街・国立公園が立地しているため、かなり限定的な建設になる。

 

原発事故によって多くの原子力発電所が稼働を停止しています。

こうした問題を背負い、何を推進していくのかを決めるのは、未来を担う皆さんになるということを最後に訴えかけて池上さんの講義は終了しました。

 

 

 

 

pazoo
平成生まれの思うこと

福島の原発の処理は2020年の東京オリンピックの際にも全く終了の気配は見せないと言われています。

まさに我々平成世代が何を推進していくのかをしっかりとキメ、今後の世界を支えていく必要があるのです。

 

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何となく生きることもできますが、こうした問題にきちんと向き合い、しっかり考えること、そしてそれを自分の子供の世代に教えていくことが必要だと思います。